もともとお正月にご先祖様の霊をお迎えする「御霊祭」にお供え物をする、という風習がございましたが、そのお供え物として、よその家に嫁いだ人や分家の人たちが、本家や実家にお神酒のおつまみになるような塩鮭やするめ、数の子などを年末に手渡しで持っていくようになります。
これが中国の行事と結びついて「お歳暮」のルーツになったと言われています。
現在では年の暮れにお世話になった方に、「今年も一年お世話になりました」の、感謝を込めて贈り物をするイベントですが、正確には歳暮周り(せいぼまわり)と言います。
この贈答品がお歳暮と呼ばれるものになります。
現在では「歳暮」「お歳暮」といった場合、この贈答品、または贈り物の習慣を指すことが一般的になっていますが、本来は直接訪問して贈り物をするものですが、現在は百貨店などから直送が基本になっていますね。
対を成すお中元と比較すると、マナーや解釈に少々異なる部分もございますので、その辺りを中心に見ていきましょう。
新年を迎えるにあたり、豪華なものを贈る傾向がありますお中元は省いてもお歳暮はしっかりしたものをと考える人は多く、企業でも取引先やお付き合いのある相手にお歳暮は、現在でもきちんとお贈りする場合が多いです。
変わった形としては、年取り魚、これは東日本ではサケ、西日本ではブリが一般的。
北陸では娘が嫁いだ初めての年末に婚家に寒ブリ一本を歳暮として贈ったり、金沢では男の子が生まれた場合、軍配型の「杵餅」を、女の子が生まれた場合は「繭玉」や「巾着餅」を贈る、結婚後ずっと歳暮や中元を実家から婚家に贈る、等もあり、贈る時期も地域差がございます。
東日本では11月下旬~12月20日前後、西日本では12月13日~20日前後となっておりますが、
お中元同様に大まかに年の暮れであればと、双方に固く考えすぎないのがよろしいかと思います。
この時期に贈る品物には紅白の水引と、熨斗アワビの飾り、または代わりのマークを付けて贈るのがマナーです。
(ただし、品物が生ものの場合は熨斗アワビは付けずに水引のみ)
注意しなければいけないのは、この時に付ける水引の形で、蝶結びでやるのが一般的。
この辺りはお中元と違いきちんとした方がよろしいかと思います。
百貨店やサイトに注文する場合も、これらをきちんとやってくれるところを選ぶ方が、お相手様の印象もよろしいかと思われますね。
お歳暮に関しましてはお品に関しては、実に様々で、普段使いしやすいものから、特別なアルコール類、美味しい食べ物、金券類などをお贈りする事も珍しくございません。
お相手様がどのようなものを喜んでくれるか、じっくり考えてセレクトしましょう。
お相手様が公務員の場合お歳暮含む、金銭・物品を受け取ることが法で禁じられている、という事がまず第一になるでしょうか。
せっかくの贈り物が相手様にご迷惑を掛けては、何の意味もございませんので気を付けたいところ。
企業間の場合も2000年代以降は、個人情報保護や上司・部下の癒着防止、内部統制の観点から、社内外ともに、お中元やお歳暮などのやりとりを全面的に規制する企業も多く、そういったお相手に送るのはやめておいたほうがよろしいでしょう。
お中元の項にもあるように、お相手様の状況によっては控えた方が、よろしい場合も多々ございますので、気を付けたほうがよろしいですね。
あげて楽しいではなくもらって嬉しい、を念頭にセレクトすればきっとあなたの誠意に、先方の笑顔が答えてくれるはず。